統一列車は走る
통일렬차 달린다 | ||
1961年創作, パク・サヌン作詞, 毛永一作曲 | ||
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■解説
「統一列車は走る」を理解するうえで確認しておかなければならないのは、この歌が作られた1961年当時における南北朝鮮のパワーバランスである。
1961年といえば、南では朴正煕らが5.16クーデターを成功させ政権を掌握した年。圧政と腐敗を極めた李承晩政権を4月革命で民衆が打倒してから約1年後のこと。李承晩政権下、政府の無策により韓国経済は停滞し、アメリカからの援助で辛うじて食いつないでいる有り様だったのである。
一方の北はというと、もともと日帝時代から工業の基盤がある程度整備されていたところ、ソ連などからの潤沢な援助や、1956年から61年まで繰り広げられた千里馬運動の成功を通じ、着実に重工業の生産力を伸ばしていった。また金日成は「主体性」を掲げて延安派やモスクワ派といった政敵らを駆逐し、権力基盤の安定を確保した。この時期、政治的にも経済的にも金日成は(そして共和国は)ますます自信を深めていたのである。ちなみに、1961年時点での一人当たりGNPは南が82ドル、北が195ドルだった。
このような状況のもとで「統一列車は走る」は作られた。当時としてこの歌詞は掛け値なしにリアリティをもっていたわけだ。
ところで、「統一列車は走る」は日本共産党系の合唱団である中央合唱団によって日本語歌詞が作られ、うたごえ運動を通じて日本でも歌われた。同合唱団の合唱による録音が「センターレコードCLS-10」に収録されている。
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2012/07/17 2番の歌詞を間違えていたのを修正。ご指摘くださった方、ありがとうございました
2013/12/18 訳を修正
2014/02/10 音源差し替え