2010年10月7日木曜日

党代表者会と「インターナショナル」



皆様ご存知の通り、朝鮮労働党代表者会が9月28日、平壌で開かれ、金正日同志を総書記に、そして金正恩同志を中央軍事委員会副委員長に推戴した。金正恩同志については昨年も「パルコルム(歩み)」を取り上げた。今回の歴史的な党代表者会でついに、金日成主席と金正日総書記の革命偉業を代を継いで輝かせてゆく「後継者」を正式に戴いたわけである。

ところで、この党代表者会について調べていて、ひとつ興味深かったことがある。Uriminzokkiriの「朝鮮労働党代表者会進行」という記事によると、同会は「金日成将軍の歌」の演奏で開会し、「インターナショナル」の演奏で閉会した、というのだ。「インターナショナル」という曲が共和国でどのように扱われているのか、実際に歌われているのか、演奏されているのか、というのは、かねてから気になっていたことであった。



素晴らしいことに、今回の朝鮮労働党代表者会は朝鮮中央テレビで全編が放映され、しかもその全てがYouTubeにアップされている。上の動画がその全編のうち最後の部分で、「インターナショナル」の演奏は7:45あたりから始まる。

共和国で「インターナショナル」が演奏される機会がどれだけあるんだろうか、と思ってUriminzokkiriの記事を検索してみたところ、2009年7月の金日成同志逝去15周年中央追悼大会においても、会の最後に演奏されたようだ。しかし、それ以外の検索結果は、金日成回顧録『世紀とともに』など抗日武装闘争時代についての記述ばかりで、ニュース記事で「インターナショナル」に言及しているのは、今回の朝鮮労働党代表者会と、2009年の金日成同志逝去15周年中央追悼大会の記事だけだった。「インターナショナル」が儀礼曲のなかでもかなり格の高い位置づけであることがうかがえる。



これが共和国の「インターナショナル」である。歌唱が入ってるものは、私はこれしか聞いたことがない。ネット上では何度も聞いたことがある録音だが、出所や年代などは不明だ。ただ、決して新しい録音ではないだろうことは音質からしてわかる。一方、演奏のみの「インターナショナル」なら比較的新しい音源が存在していて、「朝鮮のうた第34集《行事音楽曲集》」と「朝鮮人民軍軍楽団第7集」に収録されている。

あと、YouTubeにこんなのもあった。↓



以上からわかるように、共和国で「インターナショナル」は現在でも一応演奏されてはいるが、やはり歌唱はされていない模様だ。

ちなみに、「インターナショナル」は北と南で歌詞が異なっている。

ここで説明されているところによると、共和国の「インターナショナル」には日帝時代に歌われていた歌詞がそのまま受け継がれた。それに対し、南では朝鮮戦争から全斗煥時代にかけての厳しい反共政策のせいで「インターナショナル」は歌われなくなり、1980年代に入ってから外国から楽譜が持ち込まれ、新しい韓国語歌詞が付けられたのだとか。

(ちなみに、私は南の歌詞の方が歌いやすいし活き活きとしているので気に入ってます…)


■関連記事(2015/07/12追記)

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2015/07/12 関連記事を記載、リンク変更等
 
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