2011年3月1日火曜日

女性の歌

1947年の古い歌「女性の歌」です。作曲者のキム・オクソンは「決戦の途へ」なども手がけていまず。
女性の歌 歌詞日本語訳

人民主権仰いで 進み出る女性たちよ
我らの力で祖国の基盤は 日ごとに建設される
工場の女性も 農場の女性も
胸ごとに燃える愛国心を抱いて
凛々しく団結しよう 将軍様のまわりに
燦爛たる我が祖国の 完全独立のため

すべての工場で すべての農場で 団結した女性たちよ
我らは祖国を建設する力だ
働こう ともに 我らの幸福のため
胸ごとに燃える愛国心を抱いて
凛々しく団結しよう 将軍様のまわりに
燦爛たる我が祖国の 完全独立のため

받들다は多義語ですね。だいたい一律に「仰ぐ」と訳してきましたが、日本語の「仰ぐ」に含まれる意味以外にも「支持する」や「たすける」(「助ける」というよりは「扶ける」や「輔ける」の方)の意味もあるようです。

朝鮮音楽さんの歌詞で「장군님 두리리」となっているのは「장군님 두리에」の誤植です。

「将軍様」というのは、1947年ですので当然ながら金日成将軍のことです。

「完全独立のため」というのは、1947年当時の朝鮮半島は38度線以北はソ連軍による軍政支配のもとにありました。そして翌1948年9月9日に朝鮮民主主義人民共和国が成立し、形式上は「独立」を果たしたのでした。



産業建国の歌」のときにも書いたように、解放から共和国創建にかけては、名曲を多数生み出した時代でした。そのなかでも「女性の歌」は特に気に入っている歌です。洗練されているけど型に嵌ってしまった感じのある1990年代の普天堡の曲などでは味わえない雰囲気です。

ところで、これは私の持論なのですが、朝鮮音楽史上において名曲を多数生んだ「黄金期」と言える時代が3つあるように思います。

①1945-48年あたり(解放・共和国創建期)
②1969-73年(5大革命歌劇)
③1990年代初頭-中葉(普天堡電子楽団全盛期)

これら「朝鮮音楽の黄金期」は、いずれも金日成・金正日の権力基盤確立にとって重要な時期の重なっています。①は金日成がソ連の庇護のもと、民族主義者・南労党派・延安派などを差し置いて党と国家の指導者に確定した時期。②は金正日が主唱した「党の唯一指導体系」によって金日成の絶対化が完了し、それに伴って金正日が後継者として決まった時期。後継者決定に影響力をもつ老幹部たちの歓心を買うために金正日が「5大革命歌劇」を利用したという話しもあります。そして③は金正日による支配体制が完成し、金日成が死去した時期です。
 
(^q^)